なぜ貴方のムービーは退屈で、言いたいことが伝わらないのか

ムービー編集の考え方

I prefer to make movies using iPhone. and describe how to edit these movies effectively.

私は専門的な映像制作を習ったことはありません。ただ、引き込まれるように見てしまうCMや映画、ドラマ、小説には何か共通点があると思って、なんとなく形だけを真似ていました。

NLPのトレーナーとなり、その手法の根底にある1つがわかり、最近流行のiPhoneなどでのムービー投稿に生かしています。

ネステッド・ループ

I use “Nested loop” NLP technique for my editing. That is, split several stories and merge with several chunks.

「映像制作 ネステッドループ」と検索しても手法解説は見つからないところを見ると、一般には教えていないのかもしれません。 ネスト=巣です。「話を入れ子」にすることです。

小説や映画の場面変換でよく使われています。サスペンス映画の冒頭でいきなり殺人が起こり、そして平穏なシーンへ、またその途中で違うシーンに飛んで・・・というのは経験あるかと思います。

物語をバラバラにして入れ子状態にするのです。

スピーチでも活用できます。 なぜそういう作り方をするのか、どんな効果があるのか、そして素人はどうやって作るのかを解説します。

脳は空白を埋めたがる

Brain want to create the lost peace  in a story. Nested loop uses it.

「冒頭の殺人シーン」が途中で終わり、違うシーンになると、脳は「あれはこの話とどう関係するんだろう?あの先はどうなっているのだろう?」と考えはじめます。

考えられる効果は

  • 切り取られたシーンのメッセージが強く残る
  • 先が知りたくなり、物語に引き込まれる
  • 脳が推測や詮索をはじめるので活性化する(退屈しない)

などです。

今回、「初めてのランニング」にチャレンジするNLPの先達、石川美樹さんと走った様子をiPhoneカメラとMac Book ProのiMovieを使って編集しました。

この映像サンプルを利用してネステッドループを説明します。

メインの出来事だけを合わせた退屈なムービー

Time step editing, It is usual but boring 🙂

多くの方が「イベント」の出来事だけをムービーにします。 今回であれば「待ち合わせて」→「走る」 それだけをムービーにするとこうなります。(約20秒)

ほのぼのしていて、これはこれで良いです(笑)

こういう構成です。 1-1 私は、「あー、楽しかったのね」に加えて、「ランニングすることが素敵なこと」「20分走れるかしら?の不安から60分走りきってしまった達成感」「この2人と走ってみたいと思わせる魅力の引き出し(笑)」をムービーに入れたかったのです。

メインの出来事に、他のメッセージを合わせたムービー

Time step chunks with other stories. It’s better

そこで、待ち合わせ場所まで走っていく間と、シューズを履くシーンを別で撮影しておきました。

それを時間軸に合わせて編集すると次のムービーになります。(約30秒)

こういう構成です。先ほどのものに2つの物語を時系列で入れました。 スライド2 すこし「物語性」が出てきました。でも時間軸に沿っているので退屈でな感じは否めません。

ネステッドループを入れて意味付けを練り込む

Using nested loop

さて、いよいよ編集の本番です。石川さんとのランニングストーリーはほぼ残しておきながら、追加の物語を断片化して埋め込みました。 こういう構成です。

スライド3 シューズを履いている、1人で走っているという独立した物語をネストにしてメインの物語に入れました。

本来は時系列の出来事をバラバラにして単独で意味づけを持たせました。 これにより、石川さんとのランニング物語に

  • ちょっと速度を上げて走っているランニングのパワフルさ
  • シューズを履くという「スポーツメーカーのCM」みたいなカッコ良さ
  • シューズを履くシーンという見慣れない緊張感

これらメッセージが埋め込まれ厚みが増しました。また、石川さんとのランニングも部分的に切り取り、画面が一定に流れないよう、常に次に何が起きるのだろうという緊張感を維持しました。

ネステッドループのクロージング

さて重要なのは、入れ子の終わり方です。今回のムービーの目的は「ランニングは成功した」というメッセージなので、それぞれの物語は「成功裏に終了」していることが必要です。

  • シューズは履き始めから、紐を締め終わり立ち上がる直前(作業完了)
  • 小林1人ランニングは不安げな表情から口を閉めた自信のある表情(満足)
  • 石川さんとのランニングは「20分過ぎた〜やったー」的メッセージ(成功)

で閉じています。 これによって、3つの物語が「成功裏に完了!」しました。だからとても楽しい(楽しさ3倍?)に見えるのです。

もし、これらクロージングが曖昧だったらどうなるでしょう?そうですそれが映画の予告編です。だから物語の終わりを見たくて本編を見たくなってしまうのです。

おまけの編集

ネステットループとは直接関係ないのですが、他に2つの編集技術を利用しています。

  • 映像の着色フィルター

ムービーの前半は、これから走る緊張や不安を出すために「ブリーチ」フィルタを使って浅い色にしています。シューズの色で比較するとよくわかります。

後半は黄色を強くして、熱気に溢れている、盛り上がっている感じにしています。

  • Ken Burns

撮影後の画面に後処理でズームは移動(パン)などを付ける手法です。

石川さんが楽しげにしていることを強調するために、部分的に石川さんの顔が大きく映るように編集しています。 さてこれらを入れた最終ムービーです。(約30秒)

以上が私が良く利用している編集に関する考え方です。セミナーやランニングをやりながら合間で撮影するものなので、メインの流れを撮影しておくのはもちろんですが、「意味づけ」を加えられるような素材を余り時間で撮影しておくのは、編集の時に大きく助かるかと思います。

皆さんのご意見をいただければとっても嬉しいです。