目標をイメージ化することの功罪

Pros and Cons of imaging one’s goal setting. English summary is at the bottom of this article

「目標は明確に!」

目標を明確にすることはゴールの達成のために大切だとよく言われます。
確かに、曖昧なものをを探しに行くよりは、明確なものを探しに行くことの方が楽です。

「何かいい本はないかなぁ?」と本屋で探すより「心理学のベストセラー1位の方を探す」方が簡単です。

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ただし、そこには大きな落とし穴があるのです。

イメージをいくら膨らませても、実際に行動を起こさない限りそれは現実化しません。
「既に叶ったかのようにイメージを強く持つことが重要」と能力開発のファシリテーターは言います。

その時に脳内には何が起きているのでしょうか?

目標は人に話すと実現しにくくなる

ちょっと切り口が違いますがTEDの人気のデレク・シバース氏の「目標は人に言わずにいよう」です。

数々の心理学的実験が「目標を人に話して認めてもらうと、それで満足して行動をしなくなる」という結果を出しています。
目標を口にするなら、決して自分を満足させない言い方が重要と話しています。
「マラソンを完走するんだ!」ではなく「マラソンを完走するために週5回走らなきゃいけないんだ!」です。

目標を強くイメージするというのも、同じ問題が生じます。

人間の脳はリアルなイメージと現実の区別がつきません。それゆえ目標のものが「既に手に入った」とイメージできてしまうと、本当に手に入った錯覚を起こします。

「手に入った自分をイメージすると行動が変わる」という説もあります。ただ、私が思うには、リアルに「行動が」できているイメージでない限り無意味かと思います。
つまりマラソンで言えば「マラソンのゴール」をイメージするのではなく、「日々、朝早く起きてトレーニングしている」イメージです。

手に入るまでが華

まだ手に入れてないものを手に入れようとしている時には、脳は中枢神経系に存在する神経伝達物質ドーパミンを出します。

ドーパミンは興奮性の神経伝達物質で「楽しい、快楽、やる気」などに関係しています。
また付き合っていない異性に思いを寄せて、デートの予定を考えたり、そのための服を買ったり、貯金を下ろしたり😀、そういう時はドーパミンダダ漏れでしょう。

アグレッシブにそれを手に入れる行為を行います。しかしドーパミンは、本当にそれを手に入れると分泌が止まってしまうと言われます。

実際に手に入ると、ドーパミンではなくセロトニンが分泌されると言われます。
セロトニンは逆に安心感や落ち着きの効果がある抑制系の神経伝達物質です。

イメージの持ち方

ここまで書けばお分かりと思いますが、本当に目標が叶ってしまったかのようにイメージできてしまうと、脳からはセロトニンが出てしまい「よしやろう!」というエネルギーが逆に削がれてしまいます。

「目標が手に入ってしまったかのようにイメージする」のではなく、「目標に近づく行動ができるイメージ」が大切ですね。

  • 参考文献
    錯覚の法則 西田文郎 大和書房
    公益財団法人テルモ生命科学振興財団 ホームページ
    第13回「学習意欲にも関係するドーパミン」https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/s2_13/03.html

It is well said that detailed image helps achieving goal. I think some part It’s OK but if someone think and feel the detailed images as their goal, the brain don’t struggle to achieve it due to it’s neurotransmitter serotonin.

投稿者: Toshihiko Kobayashi

20数年間、コンピュータソフトの世界で技術者やマーケティングをしていました。   独立後、「コミュニケーションもテクノロジーである」と米国NLP協会の認定トレーナー資格を取り、SNSなども含めた人間のコミュニケーションの改善に取り組んでいます。   誰でも取り組めるNLP(神経言語プログラミング/コミュニケーション心理学)を日常、そしてビジネスに役立てていただきたいと思っています。   このBlogでは、日々のコミュニケーションの中から、いろいろなトピックを抽出するとともに、本やセミナーなどの紹介をしていければと思っています。 I have been working in IT engineer area for more than 20 years, and found that "Communication" is also a technology for people.    I acquired NLP(Neuro Linguistic Programing) Trainer license in 2012, and improve everyone's communication.

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